
| 病気の解説 |
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目次
1.胆石あるいは胆石症2.胆嚢癌 3.便秘あるいは便秘症 4.薬剤による病気 5.C型慢性肝炎便利ノート |
胆石は手術しなければならないのか。症状が現在まで、全くなければ、放置してよいでしょう。しかし、胆石を持つ人の2%ぐらいはやがて胆嚢癌になるので、年に一度は超音波の検査かCTを受けて、もし肥厚等の新たな変化が見つかった場合は早めに手術すべきでしょう。また痛みとともに熱が出る場合は、あまり我慢すると命取りになることがあります。至急診察を受けるべきです。普段良く見られる症状は、胃痙攣と呼ばれるもので、みぞおちに激しい痛みが出現し、時には悪心嘔吐を伴います。放置しても多くは2、3時間で症状が消えます。痛みは単に鈍痛のこともあり、場所を指定しにくいこともあります。痛みのあるときに診察を受け、超音波で見た胆嚢の部位に強い痛みがあれば診断は確実です。 |
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癌の中でも診断が難しいもののひとつです。たとえば次のような例があります。 60代の女性が5年前に胆石の診断を受けました。大きさは約10ミリ。2年後の超音波検査では、石の大きさにも、胆嚢にも変化はありません。さらに2年後、胆嚢の壁の一部が厚くなっています。癌の可能性を考えて、某有名病院に精密検査を依頼しましたが、現時点での癌の可能性は低いとのことです。しかし手術しても良いです、と言われ患者は手術を受けないことにしました。 その後も2度、3度当科に来院されましたので、胆嚢癌の診断が難しいこと、はっきり分かった時には手遅れとなることが多いことを説明し、強く手術を勧めましたが拒否されました。症状はまったくありません。それから約1年後に来院されたときには、胆嚢が種瘤として触れました。待った無しの手術を勧め、前記の病院を紹介しましたが、術前診断は胆嚢腺筋症とされました。最終的には皆さんが想像されたように、進行癌でした。 |
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便秘の定義は、なかなか難しいものです。 統計的にも3日も便がでなければ便秘としてよさそうですが、現実には3、4日出なくても平気な方はいくらでもいます。患者さんで約一ヶ月便が出なくても平気だったという人を二人知っています。回数の多い人もいます。物心ついてからずっと日に5、6回は便が出るという人もいましたが、検査をしても全く異常は見られませんでした。 難しいことはさておいて、現実に便秘で悩む人は多く、できるだけ具体的に相談に乗ることにしています。注意が必要なのは、大腸の痙攣による便秘があることです。このタイプの便秘に下剤を多用すると効果がないばかりか症状が返ってひどくなる事もあります。ウサギの糞のようなコロコロした便が出る人は、下剤を飲む前に腸の緊張を和らげる薬をまず最初に試してみるべきです。このタイプの便秘は、比較的若い女性に多いと言われています。中年以降にみられる便秘に関しては、とにかく歩いてくださいといいます。朝起きたらコップ一杯の水または牛乳、意識して摂る根野菜類、下剤に頼る前に今までより、15分だけ余計に歩いてみること。 タバコ屋のおばさんがいました、ひどい便秘で便秘薬もあまり効果がありません。タバコ屋ではやっていけなくなって、スーパーで働くことになりました。これは相当歩くそうです。その後長年悩んでいた便秘が嘘の様に治ってしまったそうです。 老年になると便秘で悩む人は激増します。寝たきりの場合は下剤の効果も限界的で、直腸に大量に便がたまるため、誰かが指でかきだしてやることも必要になります。 それぞれの人がその人なりの排便習慣をもっています。それが崩れたときは早めに医者に相談をしたほうが良いでしょう。思わぬ病気がかくれていることもあります。 |
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薬の副作用としていろいろな症状が出ることがあります。その多くは消化器症状で、胃のもたれや下痢、便秘ですが、消化器症状で、胃のもたれや下痢、便秘ですが、消化器に関するもので危険な副作用についてざっと列挙してみます。 ア) 食道潰瘍 現在では水無しで飲める薬も開発されていますが、これは普通の薬の場合です。コップ半分ぐらいの水で飲めばたいていの薬は胃に到達しますが、コップに五分の一ぐらいの水だったらどうでしょう。薬は食道のどこかにくっついてしまうかもしれません。昼間ならそれでもものを食べたり、お茶を飲んだりするのでいつの間にか薬も胃に落ちています。問題は寝る前です。薬を飲み忘れたと気づき慌てて起きだして、ほんのわずかな水で飲み下し眠ってしまうと、一番中薬が食道の粘膜にくっついたままになることがあります。その場合薬の成分がそこで溶け出し傷を作ることがあり、結果としてひどい胸痛が出現し、物を飲み込みと耐えられない痛みになります。 胃カメラで病変を確認した患者さんは二人ですが、ともに食道の中ほどに潰瘍をつくり、内腔は狭まっていて痛みのためカメラをそれ以上内部に挿入することができませんでした。 ところでこの人たちは何歳ぐらいだと皆さんは想像されるでしょうか。お年寄りは意外と慎重なのです。二人とも比較的若い女性の方でした。四、五日はほとんど食事も取れなかったようです。 余談ですが、熱いものを間違って飲み込んでしまって食道に火傷を負った人もいます。口に含んだとたん熱いと思って吐き出そうとした弾みで飲み込んでしまったそうです。この方も食道に潰瘍を作っていて数日間おかゆを少しずつ流し込むのがやっとでした。 イ)胃潰瘍 薬剤性の胃潰瘍は、割とよく目にします。原因となる薬で多いのは、消炎鎮痛剤です。関節の痛みや腰痛、頭痛などに使われる痛み止め、解熱剤作用もあわせて持っています。 欧米の文献では、長期にこの薬を服用している人の約30%に潰瘍がみられるといいますが、日本でははるかに少ないわりあいではないかと思われます。ただ鎮痛作用によって、本来なら感じるはずの潰瘍による痛みもブロックされてしまい、潰瘍ができているのに本人にはまったく自覚症状がないことも多いので実体は不明です。病院に勤務していたときは、吐血や下血で緊急内視鏡をした人の中に一定の割合で薬による副作用で潰瘍を作った人がみられました。文献的にも薬剤性の胃潰瘍は自覚症状に乏しく、出血によって始めて気づくことが多いので注意が必要とされています。過去に経験した薬剤性胃潰瘍で最もひどかったのは、副腎皮質ホルモンによるもので、やはり吐血で来院されましたが、大きな潰瘍がいくつも出来ており治療に難渋しました。 ウ)小腸・大腸潰瘍 最近小腸のカプセル内視鏡が行われるようになって、今までほとんど未知の世界であった部分に光が当たるようになりました。消炎鎮痛剤を服用している方のなかに、象徴内に小さな潰瘍を作っている人がかなりの頻度で見られます。そこから出血して貧血の原因になったり、あるいは腸管の狭搾を起こしてイレウス症状を起こすこともあるようです。何の症状もなければ、放っておいても問題ないと思います。バイスピリンを服用している方の大部分は、胃の中に発赤や小さな糜燗を作っていますが放っておいて問題ないのと同じです。薬によって大腸に傷ができる人もいます。これはしかしごく稀です。 エ)肝機能障害 薬剤性の肝障害は時々見られます。薬を飲み始めて二ヶ月以内が90%を占めるといいますから、長期に服薬する時は、始めの一、二ヶ月は、こまめに血液のチェックを受けるほうが安心です。典型的な例では、発熱、寒気、だるさ、かゆみ、黄疸等が見られますが実際にはたまたま調べたら肝臓の数値が上がっていたというのがほとんどです。昔、精神科の病院で当直のアルバイトをしていたことがありますが、割とよく肝機能の数値の軽度上昇例を見ました。一部は脂肪肝のためだったと思われますが、薬剤性と思われる例も散見されました。週に一度は採血し、数値が低いままにとどまればそのまま投薬を続けてもらったものです。(薬の中止による障害のほうが心配だった)。また薬によっては使いはじめに軽度の異常を示すもののそのまま私用を続けていると、肝機能が正常に戻ってしまう例もあります。しかし、なかには肝を冷やすような障害を起こす方もいます。十年以上内科系の医者をやっていれば、少なくとも周りの医者の失敗談として、一人や二人の重症例を知らないはずはありません。致死率の高い劇症肝炎の約20%が薬剤性であるとのアメリカのデータもありますから、薬の服用中に体のだるさや、吐き気、食欲の低下、発熱、関節痛、あるいは尿が異常に濃い、などの症状が見られたら直ちに主治医に相談したほうが良いと思われます。どんな薬でも肝障害を起こす可能性があり、その60%が服用開始後一ヶ月以内に、約90%が二ヶ月以内に生じるとされています。また一部の健康食品や毒キノコ等で命にかかわる肝障害を起こした人もいますから、よく分からないものには手を出さないほうが安心です。 |
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1)新しい治療法 この数年の間にC型肝炎に対する治療法は劇的に変化しました。1992年に導入され、高率のウイルス駆除が期待されたインターフェロン(IFN)は、結果として20%台の駆除率に終わり、しかも日本人に多い1型かつ高ウイルス量の群に対しては10%以下と振るいませんでした。当初6ヶ月に限定されていた使用期限は2002年以降に撤廃され、さらに2003年末にポリエチレングリコール(PEG)を結合した遺伝子組み換えインターフェロンであるPEG−IFN−α2aが承認された。ペグIFNは徐々に吸収され、70時間前後で最高血中濃度に達し、半減期も長い。そのため週一回の投与で十分な効果が期待でき、血中濃度の極端な増減を繰り返す以前のIFNに比し副作用も少ないとされます。 2004年12月にはI型、高ウイルス量の症例を対象に、ペグIFN−α2bとリバビリン併用療法48週投与が保険適用になりまた、この方法による治験の結果は、それまで10%以下であったこのタイプのHCV駆除率がいっきに50%近くになる劇的なものでした。(但し治療開始後12週でウイルスが消失しなければ駆除率は2%)。そのためこれまであまり治療の対象とならなかったGOT(AST)、GPT(ALT)がほぼ正常なものにも適応が広がってきているようです。ただ高齢の女性では、リバビリンによる副作用が強く出ることがあり貧血、皮疹、強い倦怠感等のため、減量もしくは投薬の中止になることもある。また65歳以上の男性では、ウイルスが消えても肝がんがよく出るとも言われ、年齢と癌のリスクの算定と副作用をよく吟味して適応を決める必要がありそうです。そのほかにIFN単独の、自己注射による少量長期療法もあります。 2)画像診断 日本人のがんによる死亡率は1975年以降一貫して上昇し続けており、2002年における死亡実数は肺がんおよそ5万5千人、胃がんおよそ5万人、肝がんおよそ3万5千人で第3位である。肝がんの約8割がC型肝炎ウイルス持続陽性者から発症している。一年ごとにウイルス陽性者のおよそ1%に癌が発症し、またHCVに感染した人のうち4人に1人は肝がんになるといわれている。そのためC型の肝炎ウイルスを持つ患者さんは定期的な画像診断が必須です。基本的には年3〜4回の腹部エコー、および年1回のCT(単純+造影)検査で、もし癌になってもできるだけ小さいうちに発見することが大事です。特に血小板が14万以下の場合、肝がんの発生率が年に3〜4%と高くなるので厳密に行う必要があります。これらの方法を駆使しても診断の難しい例もあります。ある患者さんは当科で肝がんを疑い大病院に紹介しましたが、血管造影を含む種々の検査の結果とりあえず大丈夫といわれ、安心しすぎたのか一年半ほどまったく来院しなかった。紹介後初めて当科を受診した時には何の手も打てないほどの大きな癌ができており言葉を失いました。なおIFNが無効であった人の、年間の肝がん発生率が1.3%であるのに対し、著効例では0.3%とされますから、ウイルスがいなくなれば絶対に癌にならないというわけではありません。 3)その他 感染の原因は、約40%が輸血、10%は刺青やピアス、注射のまわし打ち、50%は不明とされています。患者さんの採血などに使った針を誤って刺してしまった場合でも、その感染率は4〜5%で、しかも大部分は一過性の感染ですから放っておいてもウイルスは消えます。もし1−2年たってもウイルスが残る場合はIFNの適応となり非常に良く効くようです。夫婦間の感染もほとんど無視できるくらいですから、ウイルスがいるからといって日常生活で人に気を使う必要はありません。妊娠時の母子感染は10%位に見られるようですがその多くは一過性である。心配なら帝王切開にすれば感染は起こらない。また検査でHCV抗体が陽性であってもその値が高くないときは過去の感染を示すのみかも知れず、HCV−RNA抗体定性法(定量法の10倍の感度)を調べて、陰性であれば現在ウイルスは消えていると考えてよいでしょう。種々の理由でIFNが使用できない患者さんには、協力ミノファーゲンCの注射や、ウルソの使用が効果的とされます。なお、特別の原因が無いのに血小板数が低い人では、念のためHCV抗体をチェックしておくのもよいかもしれません。 |